農産物の生産に適した平地や豊かな漁場に恵まれたきもつきには、いろいろな「うんめもん(おいしいもの)」があります。どうぞ召し上がれ!
うんめもんを探せ
けせん団子はなつかしい田舎の味
2012.10.01(月曜日)     きもつき情報局

鹿児島を代表するお菓子といえば、かるかんやしろくま、あくまきにボンタンアメ――全国的な知名度が比較的あるとすれば、やはりそのあたりでしょうか。でも、それだけではありません。全国的には知られていなくても、おいしいお菓子がまだまだあるんですよ。

 

なかでもおすすめなのがけせん団子です。

 

「けせんだんご?なに、それ?」

 

あなたがそう思ったとしても不思議ではありません。実際のところ、このけせん団子が一般的なのは鹿児島だけであって、それ以外の地域ではあまり知られていないようです。また、私たちの地元でも子供たち、若い人たちの間では知らない人が増えているとも聞きます。

 

ちょっと残念ですね。

 

ですので、今回の「うんめもんを探せ」では、みなさんにこの「なつかしい田舎の味」を知ってもらうために、地元の隠れた銘菓、けせん団子について詳しくお伝えすることにします。

 

けせん団子とは何か

 

まずは、けせん団子の大まかな説明からです。基本的には、小豆(あずき)団子に「けせん(ニッキ)」という鹿児島や沖縄でとれるシナモンの木の葉をつけてつくられたお菓子で、地元ではお茶菓子として、また贈答用として広く知られています。ほんのりと甘い小豆団子にけせんの香りが広がる、口当たりのなめらかな和菓子です。

 

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そもそも、けせんの木とは、一般的にニッケ、シナモンと呼ばれるニッケイ属の木のことです。

 

菓子類全般に詳しい園田食品(鹿屋市)の営業部長、藤井法秋(のりあき)さんによると、年間を通して暖かい気候の地域に育つ木で、昔は鹿児島県内のどこの家庭でも庭先に植えていたそうです。

 

以下、藤井さんの説明です。

 

「このけせんの木、もともとは暖かい地域に育ちますが、温度が高くなると水分を保つため自ら葉を落とし、水分が多すぎると葉が黒っぽく変色したりと大変デリケートな木です。そのうえ、近年では温暖化も影響して数が減り、栽培も難しくなってきています。

 

実は、このけせん団子、もともとは葉のついていない、小豆団子というお菓子でした。家庭でつくられるほか、薩摩藩のお茶菓子の一つとしても提供されていたそうです。しかし、鹿児島独特の暑さで、すぐに傷んでしまうため、当時身近にあったけせんの木の葉に殺菌効果があることがわかり、団子に葉をつけたのがけせん団子の始まりといわれています」

 

それぞれの店にある独自の風味

 

では、実際には、どうやってけせん団子はつくられるのでしょうか。それを探るために、肝付町前田の駅前商店街で長年、けせん団子をつくり、販売してきている福原菓子店さんにお邪魔して、そのつくりかたを見せてもらいました。

 

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まずは、練りあんこの中に砂糖ともち粉を入れてよく混ぜ合わせるのですが、ここで注目したいのが、福原菓子店で使うあんこ。店主の福原俊郎さんによると、志布志にある製餡所から取り寄せるもので、生あんこという味つけのされてないあんこを取り寄せ、お店で味をつけていきます。

 

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「同じけせん団子といってもお店によって味に違いがあるのは、それがあるからなんです」(俊郎さん)

 

俊郎さんの作業を横で見ていた創業者の正人さんがさらに説明してくれます。

 

「練りあんこを使用するのは、福原菓子店のけせん団子の特徴なんです」

 

長年の伝統に支えられた製法

 

材料を混ぜ合わせたら、今度は水を少しずつ加えていきます。ただし、水分が多いと団子の形が崩れてしまうので、その日の湿度によって水加減を調節するのだそうです。まさに職人の技が生かされる瞬間ですね。

 

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さらに、機械から取り出し、それをひとつにまとめていきます。ちなみに、お菓子づくりの世界でも機械化が進み、ほとんどを機械が手がけてくれるようになり、昔に比べてだいぶ楽になったそうです。でも、福原菓子店では昔ながらの道具や手法も使っているとのことで、そのことが半世紀以上にわたり、変わらない味として地元の人たちに広く受け入れられている理由なのでしょうね。

 

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団子がまとまると、次はそれを36グラムずつに切り分け、さらにそれを揉んで、けせんの葉をつけたとき、はみ出ないような形に整えます。手で揉むことで団子に艶が出てくるのだそうです。

 

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今度は、きれいに形が整えられた団子を20分間蒸します。ここでは、けせんの葉はまだついていません。俊郎さんいわく、「葉を蒸しすぎると黒っぽく変色し、見た目がわるくなるため」です。この段階で蒸すのは、団子だけです。

 

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さて、20分がたって、蒸しあがった団子を冷まします。そして、その冷ました団子に、ようやくけせんの葉をつけていきます。福原菓子店では、けせんの葉は家に生えている木からとったものや知人に譲ってもらったものを使用しているそうです。

 

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この日使ったのは、正人さんの妹さん宅から譲ってもらった葉。作業を続ける俊郎さんによると、葉っぱの状態はよいということです。

 

けせんとの付き合いが長い正人さんが、その葉についてさらに解説してくれました。

 

「けせんの葉にも良し悪しがあり、若い葉はすぐに色が変わってしまうので、ある程度成熟した葉を使用します。葉の裏側を見ると、若い葉は白っぽく、成熟した葉は濃い緑色をしています。

 

また、3~4月頃のけせんの葉は若葉が多く使い物にならないので、あらかじめいい時期に摘み取った葉を冷蔵庫に保存しておいて使います。葉は食用ではありませんが、根っこは粉末にして桂皮末というシナモンの粉になります」

 

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このように、使う葉にこだわることで、見た目もそうですが、けせん団子最大の特徴ともいえる独特の香りが引き出せるということです。

 

なつかしさを求めて

 

こうして団子にけせんの葉がついた状態で、最後にもう一度蒸します。今度は、高圧にした蒸し器で短く4~5分蒸すのですが、これはけせんの独特な香りを引き出し、葉の色が変わらないようにするためなのだそうです。蒸し器のそばにいると、蒸気とともにけせんの葉の独特の香りが漂ってきます。

 

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あとは冷やしてパック詰めにして完成です。脱酸素剤を入れて真空に保つので、1週間ほどは保存が利くそうです。

 

ちなみに、俊郎さんさんによると、このけせん団子のファンは全国にいるとのことで、他県であった鹿児島フェアで食べたというお客さんから注文がきたり、他の地方へ越していった肝付町出身者が、懐かしさから注文したりするそうです。

 

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甘すぎずシンプルな味で、一口食べたら口いっぱいにけせんの独特の香りが広がり、できたてもおいしければ、冷蔵庫で数日冷やして食べてもおいしい――そんななつかしい田舎の香りと味のする鹿児島の隠れた銘菓、けせん団子をあなたも一度試してみてはいかがですか。

 

※けせん団子の注文等については福原菓子店に直接、お問い合わせください。
 

 

 

 

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