本コーナーではコラムをはじめとして、きもつきを題材としたさまざまな読み物を用意しました。どうぞじっくり、ゆったりお楽しみください。
スタッフブログ
セツばあちゃんとタケノコとり
2013.04.30(火曜日)     きもつき情報局

4月中旬、局長とともに取材のお願いに出かけた帰り、このサイトで紹介しているセツばあちゃんを訪ねました。セツばあちゃんはちょうど庭に出ていて、湧き水を引いている池の前で魚をさばいていました。

 
魚屋さんの移動販売車が来たので魚を買い、お昼に一匹を刺身にして食べ、残りの魚をさばいているところで、魚の小骨などは池の鯉にえさとして投げ与えていました。
 
セツばあちゃんに会うのは今回が初めてなのですが、よく話を聞いているせいか、あるいはサイトの記事を読んでいるせいか、初対面という感じがあまりしません。あいさつをすると「タケノコを持っていかんな」とセツばあちゃんがいいます。局長が「この間ももらったでよかが」と辞退しますが、「持っていかんな」と譲りません。ちなみに会話はすべて鹿児島弁です。
 
20130430take01.jpg
裏山のタケノコ
 
「ほいなら山に上らんなら(そしたら山に上らないとね)」と局長の案内で元は棚田や畑にしていたという裏山を見せてもらうことになりました。魚を家の中へ持っていく途中でセツばあちゃんが「おいも行こかいね(わたしも行こうかね)」とつぶやくのが聞こえました。
 
裏山に上り、「ここがセツばあちゃんの洗濯場、ここが田んぼだったところ」などと局長から説明を受けていますと、セツばあちゃんがひょいひょいと上ってくるのが見えました。聞いていたとおり、「平地を歩くよりもしっかりした足取り」です。手には鎌を持っていますが、危なげなところがありません。
 
鎌を何に使うのかというと、やはりタケノコをとるというのです。「掘る」のではないかと思っていましたが、ある程度伸びていても十分やわらかいので、先の部分だけを刈り取るのだそうです。
 
三人でタケノコ探しを始めました。この裏山には孟宗竹がまばらに生えていますが、もともとはほかの人が植えていた隣の竹林から越境してきたもので、以前は唐竹しか生えていなかったそうです。
 
周辺にはイノシシによって掘り起こされた穴があいていたり、イノシシの食べ残しのタケノコやふんが転がっていたりして、イノシシが勝手気ままに歩き回っている様子がよくわかります。満腹になったのか、食べ飽きたのか、はたまた時間がなかったのか、ほとんどまるごと残っていたタケノコもなかにはありました。
 
山の中を流れる小川のすぐ近くでいくつかタケノコが見つかりました。地面から30cmくらいのものもあれば、1メートルを超えているものもあります。セツばあちゃんはほとんど高さに関係なく、どんどん切り取っていきます。
 
そんなに大きくなっていても大丈夫なのかと思いましたが、「上の方はやらしで(やわらかから)」とセツばあちゃんが繰り返します。
 
局長が借りた鎌でタケノコの上の部分を刈り取ります。あまり慣れてはいなさそうな手つきで、見ていてちょっとひやひやします(言うまでもなく、私はさらに慣れていないので鎌を手にしていません)。一方、セツばあちゃんが鎌を手にすると、力を込めて一刀両断といえそうなくらい見事にスパっと刈り取りました。やはり年季が違うようです。
 
20130430take02.jpg
鎌さばきの見事なセツばあちゃん
 
しばらく山を歩きまわってタケノコを8本ほど収穫しました。鮮度を保つためには皮をつけたままのほうがいいのかもしれませんが、邪魔になるので皮もその場でむいていきます。
 
「こうすれば一回でむくっど(むけるよ)」とセツばあちゃんは鎌の刃先ですうっとタケノコの皮に縦に切れ目を入れ、その間に指を入れてばりっと豪快に割り、手早くむいてみせてくれました。「おばさんなはえどなぁ(はやいねぇ)」と局長と二人してほめると少し照れたように笑いますが、まんざらでもなさそうです。
 
20130430take03.jpg
セツばあちゃんの指導のもとでタケノコの皮むき
 
三人で皮をむきながら、「かたくなかな(かたくないですか)」と局長が聞くとセツばあちゃんは爪の先でタケノコの表面を突き刺しながら「爪が入っでやわらしど(爪が入るからやわらかいよ)」と応じます。「でも、セツばあちゃんの爪も指も丈夫そうだからなぁ」とつい思ってしまったのは秘密です。セツばあちゃんは小柄ですが、手は結構大きくていかにも「働き者の手」をしているのです。
 
20130430take04.jpg
カジキマグロのようなタケノコ
 
収穫したタケノコはセツばあちゃんが食べる分2本を残して、「持っていかんな」とすべてくれました。セツばあちゃんが「宝の山」と呼ぶ裏山からとれた「宝物」は、訪れる人に惜しげもなく分け与えるのがセツばあちゃんのスタイル。こんなところにも彼女の温かな人柄が感じられます。
 
20130420take05.jpg
収穫して皮をむいたタケノコ
 
このときもらったタケノコは、情報局のみんなで分けました。セツばあちゃんが言ったとおりのやわらかいタケノコで、「セツばあちゃんはどんな料理にしたのだろうか。やはり煮しめだろうか」などと想像しながら煮物や炒めものなどにしておいしくいただきました。
 
※本日の担当はTでした。
 
※東セツさんは2015年1月に永眠されました。ご冥福をお祈りします。 

関連する記事

関連する記事
「いけんしたち、もう90歳じゃっでなぁ(どうしたって、も

昨年暮れ、一通のメールがきもつき情報局宛に届きました。

先週金曜日、鹿児島市内に出張で出かけている間、まだ面識の

英語版ポータルサイトです
ポータルサイトを運営しているNPO法人のホームページです。

きもつき情報局で撮影・制作した動画をお楽しみください。
2016.08.08
月曜日
肝付産の食材を扱う直売所が8月11日、新富地区の商店街にオープンします。 詳しくはこちらへ。
2015.05.14
木曜日
高山グラウンドゴルフ協会では、新規メンバーを随時募集しています。 詳しくはこちらへ。
   
※このランキングは過去1か月以内のものです                       

肝付町の地域おこし協力隊メンバー5名によるブログです。