本コーナーではコラムをはじめとして、きもつきを題材としたさまざまな読み物を用意しました。どうぞじっくり、ゆったりお楽しみください。
インタビュー
きもつきで見つけた日本の田舎の多様な魅力
2013.11.29(金曜日)     きもつき情報局
多くの地元人が「ここにはなにもない」という田舎町でも、見方が変われば、見る人が変われば、「宝の山」と映ることがあります。今回のインタビューでは先ごろ当地を訪れた、あるオーストラリア人の目に映ったきもつきの魅力を本人の言葉で語ってもらうことにします。


インタビューに応じてくれたのは、同国クイーンズランド州にあるサンシャインコースト大学で環境工学を教えるヘレン・フェアウェザーさん。11月下旬に名古屋で開かれた国際会議に出席するために日本を訪れた際、肝付町まで足を延ばすことになりました。

きっかけは、きもつきの魅力を世界に伝える英語のウェブサイト(情報局の元スタッフが数年前に実験的に立ち上げたサイトでした。「通常とは異なる日本を体験してみたい」――そう思ったヘレンさんが来日前にインターネットで調べているうちに、そのサイトに行きつき、そこを通じて連絡が入り、今回のきもつき訪問が実現しました。

以前、日本に一度来たことがあるというヘレンさんですが、これまで訪れたことがあるのは都市部だけで、日本に農村があったなどとは想像もしていなかったといいます。正味たった2日間の滞在だったとはいえ、ヘレンさんはきもつきの海や山、史跡の主だったところを訪れ、地元のお店で日本食を楽しむなど、密度の濃い「田舎体験」ができたようです。

初めて訪れた南の田舎町で彼女は、いったいどのようなところに感動し、心ひかれたのでしょうか。最後に訪れた肝付町川上にある片野の滝で、今回の旅の印象についてヘレンさんに聞いてみました。

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田の神さぁを撮影するヘレンさん(花牟礼)

――これまでほぼ2日間きもつきに滞在し、海や山を見てきたわけですが、どんな印象を持ちましたか?

まず、さまざまな風景があることに驚きました。もう一つびっくりしたのは、ここにある自然の美しさを味わう人がほとんどいないように思える点です。

昨夜泊まったすばらしい山の宿からここにある滝のような美しい場所、そして今朝訪れた禅寺(道隆寺跡)など、その多様な風景は本当にすばらしいですし、あの樹齢1300年の大クスもとても特別な木です。

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巨大な大クスに感動(塚崎)

――きのう訪れた海や海岸はどうですか。

それも特別なものです。私が慣れ親しんでいるオーストラリアの海岸とは非常に異なりますが、海岸のすぐ近くに小さな集落がある、すばらしいロケーションです。

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砂浜を素足で歩くヘレンさん(辺塚海岸)

そこだけぽつんとあって、ほとんどだれの手にも触れられたことがないような海岸です。ただし、この古い集落のおかげで、そこに長い間人々がシンプルな暮らしを営んでいたのだと感じられます。そういう特別な思いを抱かせてくれます。

――日本の農村を訪れたのは今回が初めてなんですね。

そうです。これまで一度日本には来ていますが、そのときは神戸に行き、そして今回は名古屋と神戸、福岡を訪れました。しかし、なんといっても今回の旅のハイライトはここを訪れたことです。

ぜひまた来て、あのすばらしい道路をサイクリングしてみたいです。あの道路ときたら車がほとんど走っていないですものね。

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岸良海岸と太平洋を望む(岸良)

――われわれはこのきもつきをある種、日本の農村の代表として世界に紹介しようとしているわけですが、こういう日本の農村について、外国人観光客はあまり知らないですよね。

はい、そうですね。地元の人たちにとって外国人観光客とのつき合いはあまりなかったのでしょうが、私がこちらへ来て地元の人たちと触れ合った際、とてもよくしてくれました。

温泉に入ったときは地元の女性客がどうしたらいいか教えてくれました。本当にすばらしかったです。このごろは、こういう(その土地の)文化を味わうことは普通の観光地ではできなくなっていると思います。

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日高家武家門も見学(高山麓)

――こうした日本はいわば「知られざる日本の顔」ですが、たとえばオーストラリアの人々にアピールすると思いますか。

はい。何か特別なものを求めている人たちには、こうした地域は受けると思います。なかにはショッピングや都市の暮らしに興味を持っている人もいますが、もっと深いもの、(異なる)文化にもっと深いところで触れたいと思っている人たちもいます。

こうした農村は私自身が思い描いていた日本とは異なる日本ですし、彼らにそうした機会を提供することになります。日本といえば、私はショッピングセンターや大都市ばかりを想像していましたので、このような農村の暮らしは、本当にユニークな体験です。それができてとても光栄です。何世代にもわたり、田畑で働き続けてきたに違いないお年寄りも見ましたし......

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集落近くの山の神を訪問(辺塚)

――このような日本は思ってもみなかったということですか。

そのとおりです。あなたに教えてもらった禅寺にしても、京都にはお寺がたくさんあって、たくさんの人がいますけれど、あの禅寺の場合は、一人の人が(その後周囲の人々の協力も得て)30年もかけて掘り出したわけです。本当にすごい話だと思います。世界広しといえども、同じような話を聞いたことがありません。

あの特別な場所を開き、だれもが来られるようにしたわけです。実際に見に来ている人は少ないわけですが、その人の偉業だけでも、すごいことです。

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道隆寺跡にて(本城)

――質問を繰り返すことになりますが、この2日間の滞在中、どこがいちばん印象深かったですか。

二つの場所をあげたいと思います。最初はあの樹齢1300年の大クスです。本当にすばらしい。天然の木と聞きましたが、まるで長老のようです。木の下のほうにはハートの形をした穴もありますしね。

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大クスに思わずハグするヘレンさん(塚崎)

もうひとつは、あの禅寺です。一人の人が30年もかけて自分の手で石塔を掘り出し、きれいに並べたというのは本当にすごいと思います。

――このような農村は日本中にあるわけですが、これまで外の世界には宣伝されてきませんでした。世界に紹介することで海外から人が訪れると思いますか。

はい、そう思います。そうした場所にやってくる人たちは、そこにあるもののよさがわかる人たちで、そこにあるものを変えようとする人たちではないと思います。この2日間で私がしたように日本の農村を体験することは、日本のような(発展した)国では非常にまれなことだと思います。あなたの案内のおかげなわけですが。

こうした方法で日本を知り、体験できたことは私の目を開かせてくれることとなりました。

こうした手つかずの状態にある土地できわめて大切だと思うのは、その土地を保護するということです。それを見ることができるということは、世界的に見ても非常にユニークなことです。もし5年後、10年後にここに戻ってきて、ここが観光開発されて、けばけばしくなっていたとすれば、大きなショックを受けることでしょう。

できるだけ今の自然の状態を保つことが本当に大切です。

――だからこそ、あなたのような人が必要なんだと思います。この環境を違う視点から見ることのできる人です。地元の人は自分たちが恵まれていることに気づかないのです。あなたがたであれば「みなさんはラッキーなんですよ」といえます。

その通りです。でも、それはどこでも同じです。近くにあるもののよさはわからないものです。

ここで人々が味わうことのできるすばらしい自然については、開発された土地では人々が高い金を払って体験するものです。でも、ここだと非常に安くできます。あのすばらしい食事もそうです。本当に安い。

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この日のお昼はさしみ定食(内之浦)

――つまり、私たちは何も特別なものを提供しなくてもいいわけですね。

そうです。そこがすばらしいところなのです。今あるものをそのまま出してください。ここにあるものは、人にしても環境にしても、宝なのです。心を開きさえすればいいのです。あの大クスのようにです。そうすれば人々は訪れ、楽しんでいってくれることでしょう。

――外国人向けのプログラムをつくる場合、地元の人や文化との触れ合いの場をつくることは不可欠だと思いますか。

はい。それがあれば、世界のほかの地域では経験できないものが日本での体験に付け加わることになると思います。

もちろん、言葉は異なりますが、人と人とのコミュニケーションは言葉だけに限定されるものではありません。心と心、目と目といった具合にできます。私も「どうもありがとう」くらいしか日本語はできませんが、それでもうまくコミュニケーションできました。

もし隣接する小さな集落が少し門戸を開いて観光客を受け入れ、ちょっとしたお茶会にでも参加させてあげれば、彼らは集落から集落を車でまわっていって、世界的に見てもとてもユニークな体験になると思います。

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桜島の噴火にも感動(桜島フェリー)

――ということは、きもつきでの2日間、楽しめたんですね。

はい。おもしろいのは、私が(ここに来る前は)何を期待していいのかわからず、期待を持たないようにしたことです。でも、実際に来てみて、ここで見たこと、体験したことが実に多様だったことに本当に驚いています。すばらしかったと思います。

――またいつか戻ってきたいと思いますか。

もちろんです。戻ってきます。

――私たちの町を気に入ってもらってありがとうございます。また来てください。

ありがとう。すばらしかったです。ガイド役を務めてもらい、ありがとうございました。

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