本コーナーではコラムをはじめとして、きもつきを題材としたさまざまな読み物を用意しました。どうぞじっくり、ゆったりお楽しみください。
コラム(アーカイブ)
21世紀の躍進市場・ASEANを展望する
2014.09.12(金曜日)    中川十郎(なかがわ じゅうろう)
8月1日、国際機関日本アセアンセンター主催、経団連、ジェトロ後援で「ASEAN共同体セミナー」~ASEANの歩んで来た道、これから作る道~と題する極めて有益なセミナーがあった。8月10日からはミャンマーの首都ネピドーでARF(ASEAN地域フォーラム)も開催されるところよりタイミングも良かった。

同セミナーにはASEAN側から前ASEAN事務局次長(経済共同体担当)のプシャナタン・スンドラム氏、田村英康・経済産業省通商政策局アジア太平洋課長補佐、山影進・青山学院大学教授(東京大学名誉教授)が参加された。

ASEAN(東南アジア諸国連合)は2015年末までに念願のAFTA(Asean Free Trade Area=アセアン自由貿易圏)の結成を目指している。また、域内10カ国のGDP(国内総生産)は2.3兆ドルだ。これは本年2月にペルー、メキシコ、コロンビア、チリの4カ国が議定書に署名した中南米4カ国の自由貿易圏「太平洋同盟」のGDP2.1兆ドルに匹敵する。

しかし、日本の地理的有利性や日本の過去のASEAN諸国への投資、貿易などにより、de facto(事実上)の自由貿易圏が、サプライチェーンを含めて形成されていることから、日本にとってはASEANおよびAFTAははるかに重要な市場である。

さらに域内のGMS(Great Mecon States=メコン地域諸国=タイ、ベトナム、カンボジア、ラオス、ミャンマー)の近年の発展は目覚しく、ASEAN―GMS―INDIA―中近東―アフリカ輸出回廊の起点としても脚光を浴びている。

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植民地時代の建物が残るカンボジア・プノンペンの中心部

日本としては米国主導の厳しい貿易協定のTPP(環太平洋経済連携協定)よりも、まず足元のASEAN、AFTAとの協力、特にASEAN+3(日本、中国、韓国)、ASEAN+6(3カ国+インド、オーストラリア、ニュージーランド)=RCEP(Regional Comprehensive Economic Partnership=地域包括的経済連携)に注力することこそが日本の国益上も肝要であることを銘記すべきであろう。

今日ASEANの人口は6億人で中国、インドの半分に達している。また、面積は450万平方キロで、2001~2013年の12年間の成長率は313%と中国の575%につぐ域内で2番目の成長率を記録、豪州の294%やインドの257%を凌駕した発展を遂げている。

2015年に完成を目指すASEAN経済共同体(AEC)は既に2008年から2013年12月に80%の自由化を達成。現在、2014~2015年の第4フェーズに入り、2015年末に100%の自由化を達成しようと努力中である。日本にとって地理的にも歴史的にも経済的にも最も重要なASEANとの提携協力に日本は率先して尽力すべきである。

(※ASEAN資料は国際機関日本アセアンセンター「ASEAN共同体セミナー」を参照した。)

※ほぼ2年間にわたり連載されました中川十郎先生のコラム「世界ときもつき」は今回をもちましてひとまず休止とさせていただきます。これまでのご愛読、まことにありがとうございました。

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