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コラム(アーカイブ)
2014年度通商白書を読む
2014.08.29(金曜日)    中川十郎(なかがわ じゅうろう)
先日、経済産業調査会、産業人材研修センター主催で2014年版「通商白書」の説明会があり、参加した。その概要を参考までに下記ご報告したい。

「通商白書」は我が国の対外経済政策に関する年次報告として昭和24年以来発行されているもので、本年で66回目の発行となる。
 
2014_whitepaper.jpg
通商白書2014(PDF版:経済産業省のウェブサイトより)

第一部

世界経済の動向で世界経済情勢と我が国の貿易・投資動向を論じている。世界経済が成長軌道に戻りつつあるなか、我が国は2013年に過去最大の貿易赤字を計上した。

第二部

各国の経済ファンダメンタルズの変化と成長戦略・構造改革の取り組み、主要国の成長戦略・構造改革や経済構造の変化を分析している。

具体的には、世界経済の状況変化を受けた各国の取り組み(米国の製造業回帰・国内回帰の動き、中国・ASEANの新たな成長モデル模索の動き。そのような状況下での我が国の取り組み、特に東アジアでの成長モデル転換)を取り上げている。

第三部

我が国企業のビジネスチャンス拡大のための事業環境整備~我が国産業競争力強化のための「国際展開戦略」、経済連携の拡大、新興国戦略、対内投資促進を論じている。

1) リーマンショック後5年が経過し、先進国、新興国・途上国ともに成長軌道に戻りつつあるが、将来的には成長の減速が予想されている。我が国は2013年に過去最大の貿易赤字、経常黒字縮小を記録。主因は鉱物資源の赤字幅拡大、一般機械、電気機器などの黒字縮小などである。2000年代を通し、輸出物価は為替動向に連動していない。企業は価格を引き下げても売り上げ増加が見込めないとしている。韓国や中国の成長もあり、相対的に我が国の輸出競争力の優位性が低下している。

2) 新興国のうち金融面で脆弱性がある国は成長基盤も相対的に弱い。米国では製造業重視の政策が打ち出され、内需向け生産の国内回帰の動きがある。シェール革命によるエネルギー関連の優位性は顕著だが、米国企業の海外展開は拡大傾向にある。

中国は30年以上平均10%の経済成長を遂げてきたが、成長率は7%台に低下。投資への過度の依存、過剰設備、国有企業問題などへの対応が重要課題となっている。

ASEANでは東アジアワイドでサプライチェーンを構築し、低賃金を比較優位として輸出主導で成長。だが今後は国内需要拡大、生産性向上、さらなる自由化、イノベーション創出、インフラ整備、経済制度整備が重要課題と指摘している。

日系アジア現地法人は現地事業活動のさらなる深化、具体的には、輸出拠点のみならず、現地での調達、販売の拡大、アジアでの研究開発強化、さらに我が国のビジネスモデルやノウハウの浸透、人材育成支援などでアジアの長期発展への貢献が期待されると指摘。

3) 世界経済の成長の果実を享受するため:

世界に「経済連携」網を張る~国際展開のため成長市場の獲得を推進する。
TPP, RCEP、日中韓FTA、日EU・EPAの多面的推進。

② 新興国への戦略的な取り組み~日本企業の海外展開、インフラシステム輸出、資源供給確保を戦略的、重点的に進める。

③ 対内直接投資の促進~優れた技術、人材の呼び込みにより、我が国でのイノベーション、雇用創出を加速する。投資インセンテイブ発掘・誘致・支援体制の強化などを強調している。

我が国のGDPは4~6月は前年同期比7.1%減。民間推計では2014年度は0.7%に景気減速も予想されており慎重な経済財政運営が要望される。

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