本コーナーではコラムをはじめとして、きもつきを題材としたさまざまな読み物を用意しました。どうぞじっくり、ゆったりお楽しみください。
コラム(アーカイブ)
山と海の集落で空き家プロジェクト
2014.03.12(水曜日)     きもつき情報局
平成25年度の肝付町地域おこし協力隊事業として「きやんせ」を提案し、実現することができました(「きやんせ」についてはこちらをご覧ください)。

このプロジェクトは、町内で空き家を提供してもらい、地域のコミュニティースペース兼ゲストハウスに改修して活用していこうという移住促進事業です。

「移住希望者のためのお試しゲストハウス」というのは、伊佐市にもありますが、こちらは市が家を建て、管理し、希望者は1泊1軒2000円(寝具レンタル別途)で宿泊できるという仕組みです。

「きやんせ」は伊佐市の例とは異なり、「地域のためにだったら、空き家を好きに使って良いよ」と家を提供してくださる大家さんが出てきたことで実現したプロジェクトです。そして提供された空き家を改修して活用するだけでなく、「空き家をゲストハウスとして改修する過程そのものを滞在型イベントにしてしまおう」という企画でもありました。

肝付町は、ゆっくり滞在すればするほど、その魅力がじんわりと身体に染みて来る素敵な場所だと思います。移住の前に、まず「滞在」してもらいたい。そして滞在中に地元の人たちと知り合って「絆」を育てるために、「交流・恊働作業」をどのように創りだせばよいか。

それには「一緒に何かをやる」ことが一番だと考えました。

そこで、通常の改修工事発注ではなく、「手づくり改修で地元の人とも仲良くなってもらう」つまり、「予算がない分、地元のみなさんにも知恵を絞るなど協力していただく」という過程を通して「絆」を育てるようにしたのです。

こうしたプロジェクトは全国的にも珍しい画期的な試みだったのではないでしょうか。

【企画の流れ】

この企画に今年度は夏の芸術祭からのかかわりでつながった方から2軒の空き家が提供されました。1号が川上片野の家、2号が岸良の家です。

まずは東京や京都など都市部で、そしてその後は地元で説明会を開き、人の呼び込みを図りました。ちなみに、都市部での説明会では物産の紹介などもしましたが、食材はどれも大評判でした。移住に関してだけでなく、「これはどこで買えるのか?」「肝付町に遊びに行ってみたい」という声も寄せられました。

また、首都圏で活躍中の建築家の先生の中から、人柄的にも実力的にもこうした風変わりな企画を楽しみ、なおかつ地元のみなさんとの出会いを盛り上げてくださるような方を探して、声をかけました。2軒なので、二人の先生を選び、2チームのプロジェクトが発進することになりました。

町との調整、大家さんとの調整、先生方との調整、物件の資料作成などを経て、平成25年12月に川上の家の下見と説明会、26年1月に岸良の家の下見と説明会が実現しました。改修工事は、2月に2軒とも集中して行われました。

【川上の家】

川上の家の担当の河内一泰先生は、都内に建築事務所を持ち、一軒家のデザインなどを手掛け、照明と建築のアートプロジェクトなど個性的な取り組みをしています。

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内部を改装した川上の空き家

今回、お声かけした時「鹿児島出身の後輩がいるから、一緒にやろうと思う」と、誘って連れて来てくれたのが杉村浩一郎君で、なんと、鹿屋市の出身でした。改修工事には、鹿屋高校時代の同級生が子連れで応援に来てくれたりもしたので、素敵な輪が広がったようです。

また、川上移住2年目になる視聴覚作家の松本充明が事前に協力をお願いした国分の第一工業大学の建築デザイン学科の学生さんや鹿屋市・鹿児島市の建築関係の若者が集まり、鹿児島の若手建築人脈が広がったようでした。

川上の家の改修工事期間中は、川上地区の村つくり推進委員会のみなさんのタイミングが悪く、工事を手伝う時間がなかったので、「交流」は最初の説明会に留まってしまったのが残念でしたが、それでも、忙しい中、脚立を持って集まってくれた人もいたりして、本当にありがたいと思いました。

さらに、やまびこ館の館長、園田國治さんが川上地区を代表して、お手伝いの学生さんと先生方を歓待してくれました。こうしたつながりを呼び込めたのも、夏の芸術祭などのアートイベント関連からのゆるやかなつながりの賜物でした。

河内先生には「手間がかかるが、低予算でできること」を考えてもらい、美術作品のような空間ができました。「天井裏と目の前の川を見せたかった」ということでした。

改修工事の最終行程は、3月の作業に引き継がれます。完成後にはまた、地元との交流を図っていければと思っています。

【岸良の家】

川上より1ヶ月遅れで下見と説明会が実現した岸良地区は、物件の大家さんがお寺の関係者で人脈が広かったこともあるかと思いますが、「岸良マンパワー」を実感しました。説明会の段取りから進行まで、岸良支所や岸良公民館のみなさんにも大変お世話になりました。

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岸良の空き家での改修作業

担当の日髙仁先生は、東京大学でも建築を教え、日本の他の地方でも「空き家再生」プロジェクトを手掛けている方です。神奈川県逗子市では、古民家再生を自ら実践している古民家再生の専門家でもあります。

「温泉と美味しいものがあるところじゃないとこういう仕事はしたくない」というこだわりの先生でしたが、岸良の温泉とおいしい食べ物で、すっかり岸良のファンになってくれたようです。

こちらの空き家では敷地全体のバランスを考え、外側の庭木や小屋の大接収を図りました。家の裏のアコウ、小みかん、バナナの木が醸す雰囲気を活かし、「家の中と外の空間をつなげたい」ということでした。

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外部を改修した岸良の空き家

木や小屋を撤収することになり、ユンボが登場するなど、みなさんの「やれること」「知っていること」のレベルがスゴい、と日髙先生も感心していました。

日髙先生の事務所のスタッフでイタリア人のマウリ君も、日本語ができたこともあり、良い交流になったようで、「みなさんが自分で考え、主体的に動き、どんどんコトが進んでいくのは、素晴らしいと思いました」と話していました。

「できれば2、3年かけてゆっくりと地元の人と仲良くなりながら継続できるプロジェクトにしていきたい」との希望も日髙先生から出され、「滞在」「交流」から始まる「地域のファン」になってもらう、「リピーター」になってもらう、という「きやんせ」企画の隠れた目標通りの展開になりました。

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記念撮影する地域の住民

【第一工業大学と鹿屋建築家のみなさん】

どちらの現場にも学生さんたちがお手伝いに来てくれ「面白かった」「貴重な体験になった」と喜んでくれました。

鹿屋の建築家のみなさんからは、仕事のタイミングで川上の家だけのお手伝いでしたが、「岸良にも行きたかった!」とメッセージをもらいました。こうした地域、分野、世代などをまたいださまざまなつながりを、これからも大切にしていきたいですね。

【メディア発信】

期間中、きもつき情報局、きもつきFMはもとより、MBCラジオ(H26/2/18)や南日本新聞(H26/1/28)でも紹介されました。

【今後の展開】

みなさまからの提案を受けて、「ゲストハウス」「コミュニティスペース」としての「みんなの家」の運営体制をつくっていければ、と思っています。また、改修作業も、「2年くらいかけてゆっくりみんなで完成させる」ということができれば、いろいろな絆もまた深く広く育ちそうです。継続の方法を探っていきたいと思っています。本プロジェクトへの引き続きのご支援、よろしくお願いいたします!


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