本コーナーではコラムをはじめとして、きもつきを題材としたさまざまな読み物を用意しました。どうぞじっくり、ゆったりお楽しみください。
コラム(アーカイブ)
スローダウンしないと見えてこない地域の魅力
2013.05.27(月曜日)    有留修(ありどめ おさむ)
6年前に故郷に復帰して以来、強く感じていることがあります。

それは、地域の魅力に気づくにはそれなりのスピードダウンが必要だということです。

なんのスピードかというと、それは移動のスピードです。当然のことながら、人間はたいがい移動しながら生活をしています。家から仕事場に行く、買い物に行く、友だちに会いに行く――およそ健康上の問題がない人なら、ほとんどそうでしょう。

そのための道具にもいろいろなものがあります。飛行機もあれば船もあり、電車や車、オートバイや自転車など目的地までの距離や所用時間によって人はその中から最適なものを選びます。

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遠く離れたところに行くには飛行機がベストか

こと田舎の生活ということになれば、圧倒的な存在感を持つのが車でしょう。特に鉄道がなくなり、公共の移動手段がバスに限られるわが町のような田舎においては、なおさら車に頼る度合いが高くなります。

一家に1台の時代はとっくの昔の話で、いまや一人1台が当たり前の世界となっています。

便利だけど速すぎる車

確かに便利は便利です。東京に住んでいたときのように、友だちと飲みにいって終電がなくなると喫茶店などで一夜を明かさなければならなかったことを思うと、いつでも好きなときに移動できる「自由」があることは、田舎生活のメリットの一つだと常々思っています。もちろん、飲んだら乗らないし、乗るのであれば飲まない。常識です。

それで田舎に戻ってきた最初のころは、一人田んぼ道に出て山の向こうに落ちていく夕陽を見ながら感動する一方、夕陽に照らしだされた田んぼ道をけっこうなスピードで駆け抜けていく車を見るたびに思うことがありました。

「ああ、いったいどのくらいの人がこの美しい夕陽に気づいているのだろう」

仕事場と家という二つの点だけが頭の中にあり、その二つの点を結んだ距離を出来るだけ早く走り抜けていく――そのことに多くの人は神経を集中しているのではないでしょうか。

また、せっかく見事な夕陽がすぐそこにありながら、頭の中はたとえば、夕食の準備のことや仕事のことなどが占拠していて、要するに、心がそこ=今いる場所とその風景にないわけです。

よって、仕事場と家の途中にある美しい風景にはなかなか気づかない。あるいは、気づく心の余裕がない。そんな気がしてなりませんでした(今もそう思っています)。

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こうした美しさに気づかないのは人生の無駄?!

そうなんです、車だとスピードが速すぎてまわりの景色を眺め、その美しさに気づくことができないのです。もちろん、帰宅途中によっぽどのことがあり、たとえばUFOでもやってきたなら車を停めて、それを見る、あるいは写真に収めるということは考えられますが、単なる「美しい夕陽」くらいではそうはならないでしょう。

とにかく、車はスピードが速すぎるのです。それに「どこかにいい風景はないかな」なんてウロウロ、キョロキョロしながら運転でもされたら、それこそ事故にあってしまいます。その意味で、地域の魅力に気づくには車は不適格なのです。

歩きの難点を克服する自転車

では、思いっきり移動スピードを遅くするために歩きはどうでしょうか。確かに、まわりの景色をゆっくり、じっくり、ゆったり眺めるには最適のスピードです。

ぼくも毎朝、事務所の近くの田んぼ道を歩きながら写真を撮っているのでよくわかります。いくら歩き慣れた場所であっても、ちゃんとスローダウンして歩いていけば、ちょっとした変化に気づき、まわりの風景が楽しめるようになると思います。

が、しかし、地域の魅力に気づくためにはそれだと遅すぎます。大人の歩くスピードはだいたい時速4キロといわれますので、2時間歩いてもカバーできるのはせいぜい8キロ。当然、出たら戻ってこないといけませんので、片道4キロしかカバーできないことになります。それだと「地域」と呼べるほど広い領域をカバーすることはできませんよね。

それを考えると、車と歩きの中間にあたると思われる自転車が最適だという結論が導き出せます。実際、昔はしょっちゅうクロスバイクにまたがり、町内各地を「旅」していたぼくの経験からしても、自転車は本当にすばらしい移動手段だといえます。

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以前はこのクロスバイクでいろんなところを見てまわったものです

そこそこスピードの出る自転車にまたがり、風があまりない状態であれば、大人の男性なら1時間に20キロはいけるでしょう。もちろん、途中気になった場所があれば、自由に停めて、思う存分その場所を探索できます。車であれば、駐車スペースが必要になりますので、どこでも停められるわけではありませんが、自転車なら、ほぼどこでも停められます。

また、旅の途中に出会う人たちとの会話も地域の魅力を発見するうえでとても大切なことです。

以前にも書いたとおり、地域の魅力をつくりだしているのはそこに住む人たちにほかなりません。自転車で新しい地域に入り込み、そこの住民と語り合いの場を持つことは本当に楽しいし、その触れ合いがあればなおさら「また行ってみたい」と思うようになるのではないでしょうか。

ですから、地域の魅力を発見してまわるのは断然自転車がいいと、ぼくは主張したいですね(そのほか、オートバイという手もありますが、ぼく個人の独断と偏見を交えていうなら、やはり人工的な動力に頼らないで人力でこぐ自転車のほうがより人間的で地域の魅力発見にはふさわしいように思います)

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オートバイもいいけどやはりちょっと速い気がします

心身の健康増進に寄与する自転車

それに自転車のメリットはそれだけにとどまりません。体の健康のためにもいいですし、ダイエット効果も期待できます。また、適度な風を受けつつ、まわりの景色をエンジョイしながら自然の中を走るのは精神衛生上もいいものです。

ぼく自身、少し余裕ができたなら自転車を買って(以前持っていたクロスバイクは知人に譲ってしまいましたので、今度は本格的なロードバイクを買いたいです)、自分の健康のためにも、そして地域の魅力をもっと発見するためにも、それにまたがり町の中を走ってみたいと思っているところです。

ただ、仕事が山積している今の状態ではその願いがいつかなうのか、わからないのがつらいところではあるのですが......

いずれにせよ、自転車といってもマウンテンバイクやクロスバイク、ロードバイクといったさまざまな種類がありますので(最近では安いモデルもたくさん出回っています)、みなさんも好きなモデルを選んで、それぞれお住まいの地域をじっくり、ゆったり走ってみてはいかがでしょうか。きっと車に乗っていたときには気づかなかったモノやところに気づくはずですよ。

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たまには田のかんさぁ(神さま)といっしょに桜でも眺めてみるかな

そして、当たり前と思っていた風景の中に案外、おもしろいモノやところが隠されていることに気づくのではないでしょうか。

自転車ファンのひとりとして、自転車を強くおすすめします!

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