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コラム(アーカイブ)
TPP再論
2013.02.14(木曜日)    中川十郎(なかがわ じゅうろう)
先日、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)に関する講演会があり、参加した。
 
講師は国際政治経済を専門とする大学教授で、日本は早急にTPP交渉に参加しなければ、悔いを千載に残すと述べ、TPP賛成学者として楽観的な賛成論を展開した。さらに講演の中では、中国もTPPに関心を持ち、参加を検討しているとの発言をした。
 
私は一番に質問に立ち、この発言に反論した。TPPは当初P4(Pacific 4-シンガポール、ブルネイ、ニュージーランド、チリ)の4カ国が2006年に交渉を始めたものであり、2008年に米国のブッシュ政権が介入し、米国の輸出を5年で倍増させ、雇用を200万人増大する目的で参加した。
 
オバマ政権もその政策を踏襲しており、TPPはアジアへの輸出拡大を狙う米国の国益がその背景にある。交渉条件に盛り込まれ、種々の問題を内包しているISDS (Investor- State Dispute Settlement ― 企業が投資などに関し、外国政府を訴えられる厳しい規則)問題や、日本の農業、医療関係などの開放を狙っている問題点などを指摘した。
 
したがって日本としてはまず日本の国益を中心に対応すべきである。
 
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TPPをめぐる論議は一次産業が主体の地域の人々にとっても大きな意味を持つ
 
このように多くの問題のあるTPPに性急に参加を急ぐことは問題である。TPPは日本の参加がなければ効果がなく、米国は日本の参加を強く希望しているので日本としては慎重に検討すべきだ。
 
また、中国がTPP参加を検討しているとの発言は、行き過ぎた発言ではないか。いかなる根拠や情報をもとにそのような発言をされているのかと逆に質問した。中国でのセミナーの中国の課長クラスの発言を基にしているとのことであった。
 
それに対し、私は次のように反論した。
 
2011年9月に北京対外経済貿易大学でのアジア経済共同体研究院設立総会に参加の張徳広・中国元外務副大臣(SCO-上海協力機構初代事務総長も歴任)および谷永江・元商務部副大臣(WTO交渉に中国を代表して参加)に面談したが、中国はまずASEAN+3、日中韓FTA締結に注力すべきであるとしてTPPはアジアでは時期尚早との意見であった。
 
TPP賛成論者が中国の課長クラスの発言をあたかも中国政府の見解であるかのごとく発言し、牽強付会することは問題だ。
 
笹川財団主催の講演会でも講演者のL.ゴードン・フレーク教授(米モーリーン&マイク・マンスフィールド財団所長は日本が不参加ならTPPは価値がないと発言。国際経済の権威で米コロンビア大学のバグワテイ教授は、TPPはWTO(世界貿易機関)のドーハ・ラウンドを侵食し、害することになりかねないと東アジアフォーラムに掲載された1月14日の論文警告している。
 
2月4日に東京で行われた「アジアの成長戦略としてのFTA」に参加のASEAN関係者は日本がTPPに参加し、厳しいTPPの農業政策を受け入れてくれればASEANにとってはありがたいことだと非公式な見解を表明した。
 
オバマ政権で4年間アジア外交を主導してきたカート・キャンべル国務次官補は2月9日の朝日新聞で「日米関係強化には安保重視よりもTPPへの参加だ」と日本のTPPへの参加を強く求めている。
 
CSIS(米戦略国際問題研究所)のリチャード・アーミテ―ジ、マイケル・グリーン、ジョセフ・ナイといったジャパン・ハンドラー(知日派)などの意見を入れている経団連、商工会議所や財界、メデイアなどは製造業の利益中心で、農業や医療関係者の意見を無視し、2月末の安倍総理訪米に際し、オバマ大統領に日本のTPP交渉参加を表明するように総理に圧力をかけている。
 
かかる性急な行動は日本の百年の大計にとり、悔いを千載に残すことになるだろう。慎重な対応が望まれる。
 
(※上記見解は中川先生個人のものであり、必ずしも当サイトのものではないことをお断りしておきます。)
 

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