本コーナーではコラムをはじめとして、きもつきを題材としたさまざまな読み物を用意しました。どうぞじっくり、ゆったりお楽しみください。
コラム(アーカイブ)
見えない財産は、なくならない
2013.01.15(火曜日)     きもつき情報局
「おおすみ夏の芸術祭2012」の2日目の会場は、肝付町、川上中学校校舎です。
 
これまでに4市町の会場と役場を回りながら、少しずつ打ち合わせをしてきた広域芸術祭ですが、肝付町の会場は、実は最後になってやっと決まったものでした。
 
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川上中学校の校舎内(Photo by Goto Aki)
 
大崎町、鹿屋市、志布志市は割とすんなり決まりました。ところが、肝付町ではちょっとした問題が......いろいろな方が「川上」「有明」などと、おすすめの地名をあげてくださったのですが、タイミングの関係もあり、なかなか決まりません。結局、選んだのは、その後私たちが住むことになったここ、川上でした。
 
地域の人たちに支えられて
 
実は、川上という地名は地図にはなくて、同じ学校に通う4集落を合わせた小中学校区の名前なんだそうです。
 
肝付の町から南へ山道をずっと行くと「熱くなれ、川上」と看板があります。
 
小学校も中学校も、現在は休校となっていて、校舎は「むらづくり推進員会」のみなさんが管理しています。ちょうど、新米祭りと同じ日に開催ということで、朝から地域のみなさんは大忙し。祭りではふっくらと美味しいおにぎりを振る舞う一方、早期米の販売も手掛けていました。
 
「芸術祭ってなに?」――そんな感じで私たちの活動についてよく知らない人も最初はいましたが、事情がわかると、新米祭りが終わったらすぐに校舎まで足を運んでくださったのが、とてもうれしかったです。
 
ゲストアーティストやスタッフ用にと、お昼ご飯を用意してくださったのも本当にありがたかったです。新米のおにぎりと、お味噌汁――特にこのお味噌汁が美味しくて、びっくりしました。
 
校舎のインスタレーション展示の準備では、川上地区の高校生ボランティアチームが手伝ってくれました。これは、新聞の記事にもなりました。
 
出演者の一人、70才の舞踊家の花輪洋治さんは、集まっている高校生達を見て、帰京のバスが出るまでの30分の時間を使って、教室の中でダンスを披露してくださいました。花輪さんが着替えている間、JOUが「ダンスとは?」「芸術とは?」というようなオリエンテーションをしました。
 
これは、突発的に起こった、芸術ダンスのワークショップのようでした。
 
後で、高校生に感想を黒板に書いてもらいました。生まれて初めて見た即興ダンスに、実に鋭い感動を覚えたと書いてくれた子もいました。頭がこり固まっている大人より、ものごとの本質をとらえる感性がまだ豊かに残っているのでしょう。将来が頼もしいと思えました。
 
川上で生み出された芸術
 
夕方から、ゲストアーティストの高橋さん、GOTOさん、穴井くんによる展示インスタレーションが始まりました。木造の教室が光と映像と音で、別世界になります。そこに、JOUのダンスが加わり、3つある教室を回遊移動する形で、パフォーマンスが行われました。
 
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光と映像と音と踊りのコラボ(Photo by Goto Aki)
 
最後の教室では、GOTOさんとセイイチさんの写真のプロジェクトに、高橋さんの音が共鳴して、面白い空間になりました。GOTOさんの写真は、こちらへ着いてから撮影した、川上地区の滝の写真が含まれています。一方、セイイチさんの写真には、事前に校舎で撮影したJOUの姿があります。そうした写真とコラボする高橋さんの音も、川上の滝の音が変換された音でした。まさに川上発の芸術です。
 
おじいちゃん、おばあちゃんから小さな子どもまで、世代を超えて、教室に入り切らないくらいたくさんの人が見に来てくださいました。中には他の開催地ですでにご覧いただいた方もいます。何度も見に来てくださったのもうれしかったです。
 
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パフォーマンスを鑑賞する人々(Photo by Goto Aki)
 
「こんなに人が集まったのは、在学中も見たことがない」と、高校生チームの1人が言っていました。
 
川上中学校の校舎は、有形文化財に指定されています。文化財であるからだけでなく、小さなことから大きなことまで、この学校全体が、PTAや先生方の子どもたちへの愛というか、教育への情熱で満ちているような気がしました。
 
そんな特別な場所で2日目を開催できて、本当によかったと思います。
 
人と人がつながる芸術祭
 
会場が正式に決まったのは、この芸術祭のゲストが東京から到着するわずか数日前。お客さまの宿泊先となった私たちの家は川上中学校のそばにあり、準備や後片付けが容易にできたというその距離も、大いに助かりました。
 
引越荷物の段ボールをほどきながらの芸術祭開幕で、ゲストのみなさんや鹿児島市内からのヘルプスタッフのみなさんにも、きっと窮屈な思いをさせてしまったことでしょう。にもかかわらず、みなさん、本当に自由に楽しんでいる様子でした。そして、ゲストの方にも地元の方にも、たくさんのお心遣いをいただいた週末でした。
 
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我が家にて(Photo by Goto Aki)
 
私たち2人だけでは、決してなし得なかったことだとつくづく思います。
いろんな素敵な人と人をつなげようとして頑張った私たちの目の前で、いろんな素敵な人たちがつながったり、つなげたりしてもらった芸術祭でした。
 
人のつながりは、決してなくなることのない、見えない財産です。
 
見えない財産は、与えれば与えるほど、決してなくなることがなく、逆に、私たちを豊かにしてくれます。
 
そんな見えない財産の法則を実感できた芸術祭2日目でした。
 

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