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きもつきレポート
畑から食卓へ 若手農家の挑戦!その1
2018.11.01(木曜日)     きもつき情報局
希少な国産胡麻(金・黒ごま)や荏胡麻(エゴマ)を無農薬・無化学肥料で栽培し、搾油や焙煎などの加工・販売までを一手に担う6次産業化に挑戦する若手農家がいる。

「帰国の目的は夢だった農業をやりたかったから」と話す、永野浩章さん(38)だ。
2015年4月、12年間過ごした中国から生まれ育ったこの肝付の地に帰ってきた。
 
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収穫作業に汗を流す永野さん

農業をしていた祖父母の影響もあり、幼いころから常に身近にあった農業。

「将来は農業をしたい」という想いを胸に鹿屋農業高校へ進学するも、農業の厳しい現実を目の当たりにし、就農を断念した。

その後、大学へ進学。中国への語学留学をきっかけに、そのまま中国・上海の日系企業に就職した。支店の立ち上げを任されるなど順風満帆な中国生活を送っていたものの、一度諦めたはずの「農業がしたい」という想いが心の片隅にあり、それは年を重ねるごとに強くなっていった。

その想いに押されて長期休暇中に日本での農家巡りを開始。地元鹿児島のほか、大阪や佐賀、宮崎等の農家のホームページを見ては、中国から直接連絡を取り、訪問した。入社して10年の節目である2015年に退職を決意し帰国。夢だった「農家」としての一歩を踏み出した。

当初から「場所は生まれ育った肝付町で。販売は消費者に生産者の顔が見える直販形式で」と決めていたが、肝心の栽培する作物だけは決めていなかった。
 
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宅地が増えてきた肝付町後田地区の畑地

ただし、「どのような作物を栽培するか」だけは明確だった。

1、健康効果が実証されている
2、長期保存できる
3、化学肥料・農薬を使わずに栽培できる
4、昔から食卓に欠かせない歴史があるもの

こうした条件を満たす作物はなにか。

模索していたところ、友人から隣町でエゴマ栽培を始めるという農家を紹介された。それをきっかけに「油」の世界を知り、その古い歴史や、一言で油といっても種類ごとに成分が違う奥深さに触れ、その魅力にとりつかれた。また、ゴマについては温暖な鹿児島に優位性があること、栽培から精油まで一貫して手がけているところが少ないことを知り、エゴマとゴマを栽培作物とすることに決めた。
 
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収穫を間近に控えたエゴマ

しかし、農業を始めるにも、肝心な収益を見込めるだけの広さの土地が無い。農機具に至っては、今にも壊れそうな40年前の小さなトラクター1台のみ。早くも現実の壁が立ちはだかった。
 
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作業場として利用しているビニールハウス

そこで何とか事態を打開しようと、肝付町役場へ相談に行ったところ、新規就農希望者の受け入れ団体である肝付町農業振興センターの「雇用就農制度(※)」を紹介された。

※雇用就農制度とは、肝付町内で就農を希望する者が、手当をもらいながら農業の基礎から応用まで幅広い知識を学べる制度。

就農希望するエゴマやゴマは研修品目の対象外だったが、「手当をもらいながら農業の基礎が学べ、なおかつ、就農に向けた情報収集、準備ができることが最大のメリット」と制度を利用することに決めた。

雇用就農期間は1年半ほど。その間、空いた時間を利用し、自らの畑で実験的にエゴマとゴマを栽培。収穫した作物は実際に製油(現段階では委託)、加工し、自家消費や近所におすそ分けした。ゴマは調理用に使い、エゴマは食べてから「体調が良くなった」などといわれ、好評だった。

研修期間中、栽培から製油までの一連の流れを経験できたことが就農への自信へとつながり2017年4月、雇用就農制度を修了。本格的な栽培へ、その一歩を踏み出した。

その2に続く。

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