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きもつきレポート
新説「熊襲(曾)」の本当の姿
2016.01.29(金曜日)     きもつき情報局
「古代の天皇は福岡県に都していた」と主張する九州古代史の会顧問で豊の国古代史研究会代表の内倉武久さんが1月17日、肝付町下之門集落の集会所で講演会を開きました。

講演会は下之門老人会が企画したもので、この日は同老人会会員の他、町観光協会の観光ガイド部会「肝付ふるさと案内人」や肝付町文化財保護審議会のメンバーらが集まり、内倉さんの話に耳を傾けました。
 
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下之門公民館で行われた講演会

講師の内倉さんは肝付町出身ということもあり、九州南部に本拠地を構えヤマト王権に抵抗したとされる人々「熊襲(曾)」の研究をし、著書に「謎の巨大氏族・紀氏」や「大宰府は日本の首都だった」などがある古代史の専門家です。
 
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熊襲の真の姿を解き明かす内倉さん

日本書紀や古事記などに描かれる、熊襲(曾)の野蛮というイメージに疑問を呈していて、研究を進めていくと、それらの文献に描かれる姿とはまったく逆だということがわかってきたと前置きして講演を始めました。

一般的な熊襲像に疑問

内倉さんによると熊襲(曾)は現在の鹿児島県曽於市のあたりを中心として繁栄した部族で、そのルーツは中国大陸であるといいます。

そして、京都府京田辺市の神社などで舞われる大住隼人舞の写真をモニターに映し出し、「隼人は熊襲と同一なのですが、なぜ京田辺の人たちがこの舞を伝承しているのかというと、それは彼らが熊襲(曾)の流れを汲む人々だからです。他にも奈良県五條市の内族、京都の賀茂族(いずれも熊襲)などが各地に進出していることが、その地に残る地名などからわかります」と説明しました。

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 大住隼人舞

さらに熊襲(曾)の一族とされている水流(つる)氏は「水」「流」という姓氏から砂鉄の採集に精通していたと連想できると指摘し、「要するに熊襲は鉄生産の技術を有していたと考えられます。その力を持って勢力を拡大していたったのではないでしょうか。そして戦闘において、馬を利用していたこともわかっています」と、付け加えました。

熊襲(曾)はどこから来たのか

話は熊襲(曾)の起源に移り、内倉さんは中国まで行って調査して分かった裏付けとなるものをいくつか紹介しました。

「熊襲(曾)には犬祖伝説というものがあります。犬と人との間に生まれた人物が祖先だということなのですが、実はこの伝説、中国の少数民族にも伝わっているのです。敵対者を打ち負かした飼い犬に褒美として自分の娘を差し出すという物語で、内容もほぼ一緒なのです」と、中国少数民族との共通性を説き、「日本では千葉県を舞台にした南総里見八犬伝があります。里見八犬伝は鴨川市に伝わる物語ですから、その地名から賀茂氏、熊襲(曾)の流れを組んでいます」と補足し、ルーツは中国大陸であるとの見解を示しました。
 
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中国少数民族に伝わる祖図

さらに具体的な証拠として、熊襲(曾)の特徴的な埋葬方式、地下式横穴墓がここ最近、中国で見つかっていることなど挙げ、発掘された横穴墓の写真や資料を紹介しました。

年代測定の再考を

内倉さんは、大隅一帯の地下式横穴墓の年代測定についてふれ、「考古学者らは年代を新しく見ている。いろいろな理由があるのはわかるが、私はもっと古いものだと考えています。五世紀ごろのものだと言われていますが、紀元前のものもあるだろうと、そう思います」と、発掘調査した考古学研究者らの年代測定の在り方に疑問を呈し、世界標準となっている放射性炭素による年代測定の必要性を訴えました。

流鏑馬も熊襲(曾)の風習?

このように鉄と馬をもって日本を席巻した熊襲(曾)の風習を現代に伝える神事があると紹介した内倉さんは「その昔、九州各地で盛んに行われていた流鏑馬。現在は、肝付と下賀茂神社、鶴岡八幡宮が代表的ですが、下賀茂神社は賀茂氏、鶴岡八幡宮は水流氏というように熊襲(曾)なのですね」と、馬を使いこなし、疾風のごとく戦場を駆けた熊襲(曾)のなごりが流鏑馬であろうという見解を述べました。

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 肝付町の流鏑馬神事

最後に内倉さんは、来場者に対して「みなさんの祖先、熊襲(曾)は、大陸から様々な技術を持ち込み、日本を席巻した民族です。おそらく古代の天皇も熊襲(曾)だったはずです。ですから自分の始祖が熊襲(曾)であるということに自信を持ってください」と、呼びかけ、講演を締めました。

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