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きもつきレポート
何もなかったところに咲いた音楽の花
2012.11.30(金曜日)     きもつき情報局
あいにくの雨が降り続く11月29日の昼過ぎ、人々が肝付町本城の集落センターに三々五々集まってきました。
 
その数ざっと70人かそれ以上。同センターで初めて開かれる「紅葉の下でのコンサート」を聴くためにやってきた人たちです。
 
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会場があるのは本城小学校の跡地(巨大なイチョウの木でも知られています)
 
コンサートを主催したのは福谷平(ふくたに たいら)さん。同センター近くにある町指定の文化財、道隆寺跡の整備に昭和59年からたずさわってきた人です。道隆寺とは、鎌倉の建長寺を建てた南宋の禅僧、蘭渓道隆が建長寺建立の前に当地に建てた禅寺ですが、明治初期の廃仏毀釈で完全に破壊され、長い間、土に埋まっていたのを福谷さんたちが掘り出し、整備したものです。
 
といっても残っているのは石垣の一部くらいで、お寺の建物は何もありません。土から出てきたのはおびただしい数の石塔です。でも、それだからこそ人々の想像力をかきたてる「何か」がそこにはあるような気がします。
 
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さまざまな石塔が並ぶ道隆寺跡
 
その道隆寺跡を少しずつ整備してきた福谷さんは、そこを人々が訪れる場所にしようと、平成7年からは敷地内に彩りを添えるために紅葉を植え始め、今では町内でも知る人ぞ知るの紅葉の名所となっています。今回のコンサートは、そんな道隆寺跡の紅葉の下でさまざまな音楽を楽しんでもらおうと企画されました。
 
ところが当日は朝から冷たい雨が降り続くあいにくの天気。道隆寺跡でのコンサートは無理です。本来なら雨天の場合は中止になるところでしたが、福谷さんに助っ人が現れました。
 
知り合いのチェロ奏者から協力が得られることになり、急きょ会場を集落センターに移し、初めてのコンサートが実現することになったのです。「20人も来てくれれば上出来だろう」と思っていたところ、予想に反してたくさんの人が町の内外から集まってきました。これには主催者の福谷さんも大喜びです。
 
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集まった人たちにあいさつをする福谷さん
 
コンサートではまず、福谷さんのあいさつに続いて、そのチェロ奏者がメンバーとなっている鹿屋オーケストラのバイオリン、ビオラ、チェロのアンサンブルが「赤とんぼ」や「月の砂漠」などの名曲を演奏しました。馴染みの深い曲だけに、集まった人の中には音楽に合わせて身体を揺らしたり鼻歌を歌う人もいます。
 
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アンサンブルの演奏が始まりました
 
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みんな真剣に聴き入っています
 
続いて地元の詩吟クラブ「肝付光吟会」のメンバーが吟詠を披露、さらに琴と尺八による合奏があり、観客は息の合った演奏にすっかり魅了された様子です。まるで小さな文化祭のような雰囲気になってきました。
 
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吟詠が会場に響きわたります
 
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琴と尺八の演奏
 
中でもいちばん盛り上がりを見せたのが、アメリカ出身のコディ・ガーナーさんによる津軽三味線の演奏です。3年前に英語教員として来日してから習い始めたといいます。もともとギターをやっていたというだけあって、三味線歴3年とは思えないほどの見事な演奏です。
 
特に「おはら節」をコディさんが弾きだすと、座ったまま踊りだす人もでるほどです。アメリカ人による日本の伝統楽器の演奏に集まった人たちは大満足です。
 
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真剣な表情で三味線を弾くコディさん
 
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思わず身体が動き始めます
 
さらに今回のコンサートではちょっとしたサプライズもありました。先ごろ肝付町に移住してきたアーティストの松本充明さんが飛び入り出演、アコーディオンに似たドイツの楽器、バンドネオンを弾きながら、不思議な音色を会場いっぱいに響かせました。
 
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田舎の集落に響きわたるヨーロッパの音色
 
その後、コディさんがギターを抱えて再び登場し、今度はギターによる弾き語りです。歌ったのは英語の歌でしたが、そんなことにはおかまいなしに集まった人々はコディさんの奏でる音楽に聴き入っていました。
 
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今度はギターの演奏です
 
そして、最後は会場に残った人たち全員による合唱。それには年齢も出身も性別も関係ありません。音楽という世界共通の「言語」によってみんなの心がひとつになっていきます。老いも若きも(といって、あまり若い人は見当たりませんでしたが)すっかり楽しんでいる様子です。
 
鹿屋市から訪れた毛利芳子さんは「ちょっと早いクリスマスプレゼントでした。こうした地域で、伝統芸能も含めたコンサートが開かれるなんてすごいですね」と話してくれました。
 
また、同じく鹿屋市からやってきたという女性グループも「素晴らしかったです。間近で生演奏を聴ける機会はなかなかないですからね。手づくりのアットホームな感じもいいです。また来年も来たいです」とコンサートを満喫した様子でした。
 
会場を大いに盛り上げたコディさんは「観客との距離が近いソロ演奏で緊張しました」と、実はかなりドキドキしていたそうです。「でも、とても楽しかった」ということで、三味線の糸が切れたときに備えて持ってきていたギターでも観客のハートをすっかりつかんだようです。
 
今回のコンサートについて福谷さんは、「今年初めての企画で、しかも場所が変更になったので、20人も集まればよいかなと思っていましたが、たくさんの人に来ていただけてありがたかったです。来年は、土日に小中学生たちも招いて開催したいです」と語り、頭の中ではもう来年のコンサートの構想が浮かんでいるようです。
 
昔何もなかったところが人の手で整備され、そこに紅葉が植えられ、そして今度はそこで音楽の花が咲く――福谷さんが始めた小さな活動は少しずつ新しい進化を遂げています。
 

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