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われら、きもつき人
竹ほうきづくり60年の好々爺
2014.02.12(水曜日)     きもつき情報局
自然に恵まれ、緑豊かな肝付町で目につくものといえば、ひとつには竹林があります。毎年春になると「雨後のタケノコ」といわれるとおり、町中のいたるところに生えてきて、農家の人たちにすれば「厄介者」と扱われることもありますが、一方で春の旬の食材として重宝されるものでもあります。

ただし、春には旺盛な生命力でにぎわう竹林も冬場となると風景は一変。めったに人の姿を目にすることはなく、ひっそりとしたたたずまいを見せています。

今回の「われら、きもつき人」の主人公は、そんな静まり返った冬の竹林で、もくもくと作業を続ける竹ほうきづくりの名人、馬場一己さん(84)です。

もともと手先が器用

竹ほうきをつくり続けて60年になる馬場さんの製作は8月から1月にかけての約半年間。冬場の寒さの厳しい今の時期に竹の切り出しが行われます。「夏の竹ではすぐ虫に食われてしまう。だから寒い冬に切り出すのです」と説明してくれる馬場さんは、肝付町前田地区に住み、これまで7左官職人として72歳まで働いていました。

もともと手先が器用で、昔から物づくりを得意としていた馬場さんが手がける竹ほうきは「何年使っても壊れない。使うほどに味がでる」との評判で、長年愛用している人がたくさんいます。

竹ほうきづくりの過程はまず材料集めから始まります。孟宗竹を数本わけてもらうために、家から少し離れた知人の所有する竹林に入ります。そこであらかじめ切り出しておいた竹から、ほうきの穂の部分に使用する小枝を切り取り、枯れた葉を手で削ぎ落とします。竹の先端部分は、ほうきの柄に使用するために程よい太さのものを切り分け、下準備をしていきます。

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枯れた葉を削ぎ落とす馬場さん

夫婦で力を合わせて

ほうきづくりの作業場は、暖かい陽光がふりそそぐ自宅の庭先です。助手は奥さんのセツさん(83)ですが、10年前に脳梗塞を患った後は、リハビリをかねて、お手伝いを続けています。

「何もしていないと弱っていくだけだからねぇ。手先を動かす運動に、ちょうどよい作業なんですよ」と話しながら、穂に使用する小枝をひと束にまとめ、下準備で削ぎ落としきれなかった笹を丁寧に除いていく作業をたんたんとこなします。

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協力して作業を進める馬場さん夫妻

次は、2つの束を1組にして、馬場さんが両側から柄にはさんで針金で縛り上げ、ハンマーでたたいて形を整えていきます。「竹の反り具合に注意することがポイントです。穂先が両方とも内側に反るように合わせれば、きれいなほうきができるんですよ」と、作業を進めながら説明してくれます。

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針金を巻いて穂を固定します

このように手馴れた手さばきで進めていく馬場さんですが、実は教えてくれた人がいたわけではなく、すべて独学でマスターしていったのだそうです。初めは既製品を一本買ってきて、それを見本にしてつくり始め、そこに自分なりの工夫を付け加えていって、馬場さんオリジナルの竹ほうきが出来上がっていったのです。

そんな馬場さんの愛用の道具は、のこぎりにペンチ、ハンマー、なたなど、どれも年季が入ったものばかり。長年使い慣れた道具を駆使して、柄と穂をしっかりと固定するために竹の隙間に針金を縫うようにして通していきます。

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愛用のなたと金づち、ニッパー

そこで竹ほうき自体はほぼ完成なのですが、最期の仕上げとしてはみ出した枝をペンチで切り落とし、穂の形を整えます。開始からそこまでの作業時間は30分ほど。さすが60年のベテランだけあって、立派な竹ほうきがあっという間に完成です。

終わりなきチャレンジ精神

毎年、8月から1月に作業を続け、これまでに数えきれないほどの竹ほうきを製作してきた馬場さんが一年につくる竹ほうきの数は、平均すると100本程度。そのほとんどが、ご近所さんや集落の人たちにプレゼントされます。

「みんなの喜ぶ顔が見たいから、ただそれだけです。商売にしようなんて考えたことはありません」と完成したばかりの竹ほうきを手に話す馬場さんの表情を見ると、少し誇らしげに見えます。

この他にも竹製のザルや、囲炉裏などの上につり下げて火との距離を自由に調節できるようにした鉤自在鉤(じざいかぎ)もつくっています。

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馬場さんオリジナルの竹かごと竹ほうき

80代半ばにして、「これからもさまざまな竹細工にチャレンジしたい」と話す馬場さん。「ずっとつくり続けていきたいですね。これをやっているうちは元気でいられるような気がします。元気でいつづけて次の東京オリンピックを家内と一緒に見ていたいです」と、そのチャレンジ精神に終わりはないようです。

60年続く馬場さんの竹ほうきづくりは、また来年も続いていきます。

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